涙を流したいときっていうのが人間には定期的にあると思いますが(おれだけかい?)、自分にとってそのときに見つけたタイミングといい、なかなか運命を感じる作品です。ちょっとこの作品に対してハードルをあげてしまいますが「感動したい人へ贈る」というところです。

五感のうち視覚以外の感覚を失い、失った感覚をすべて視覚によって補い「音や味を視ることができる」能力を持つ主人公が、その能力を使っていろいろな出来事に出会うお話。ここだけ聞くとあんまり大人向けじゃない感じするかもしれないけど、主人公の無感情さやその背景、周囲の人物といい、イイ意味で淡々と進んでいく展開の中に見える暖かいやりとりがゆっくりと染み渡る。若い人でももちろん楽しめるだろうけど、主観ですいませんが個人的にはラノベやアニメからいったん離れてしばらくした人に読んでほしいところです。


以下ネタバレ。なるべく具体的にはしないようにしたけど。


主人公の能力は幼少時のある出来事により身についた特異なもので、それにも一応理由があり、それが身につく過程で主人公はその先生きていく理由を持つことになります。その生きていく理由を果たすのに探偵事務所を開き、かなり遠まわしに行動したり、いろいろなコネクションを持ったりします。5巻(だったかな?)かけてたどり着くラストに向けて、あのときの行いはここにつながってたんだなといろいろ思い返すこともできて、イチイチ感心してしまいます。またその理由を果たすところを転換として、酷使してきた目の限界に対し得られたものが素敵すぎて…。

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Ryu

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